その知らせは1年前の2019年7月頃だったと思う。
45年という長きに渡り姫路市民、いや播州民の夏を彩ってくれた、姫路市民プールと手柄遊園が2020年9月6日をもって完全閉鎖するという知らせ。
多くの人がこの素晴らしい巨大プールとたくさんの思い出を作ってきたことだろう。
私も小さい頃は両親や妹たちと、小学校の頃は子供会の遠足で、中学に入ってからは友達達と何度も何度も訪れた。
残念ながら中学を卒業して以降はなかなか行く機会に恵まれず、実に20年間足を踏み入れていなかったことに気付く(歳ばれ)。
しかし、これからいつか自分の子供が出来た時は「絶対に市民プール」と決めていたものの、気付けば当施設の閉鎖が決まってしまった。あと、私も独身だった。
最終営業日となる令和2年9月6日の1日前に、やっと私も訪れることが出来た。
「ただいま」とはとてもじゃないが言えなかった。
「全然来ないでごめんなさい」そんな気分で子供の頃を振り返る時間が、最後の最後に思い出の場所で持つことが出来た。
姫路市民プール(手柄山遊園)

〒670-0971 兵庫県姫路市西延末
この場所に近付くのもかなり久しぶりなため、車で向かいながら少し緊張する自分。
しかし、いざ近付くにつれ隣の文化センター前を自転車で爆走していたあの頃が蘇ってきた。いわゆる「チャリできた」というやつだ。
車から流れる米津玄師の「灰色と青」が胸に突き刺さる。
同じ光景

記憶の中の市民プールと手柄山遊園が20年前のものだったため、
「きっと大きくなった今の自分には狭く感じるのだろうな」
と、小学校の運動場を久しぶりに見た時のような、サイズの記憶違いが起こるかと思っていた。
しかし、その予想は見事に外れる。

小さい頃毎年ここを訪れるたび「わぁ〜」とその広さに感動していたが、大人になって初めて見たこの場所の印象もやはり「広い」だった。
子供の頃は遊ぶのに夢中であまり施設の作りなどは気にしたことがなかった。

しかし、よく見てみると流れるプール沿い全面に日除けのテントがあらかじめ設置されていたり、いくつもお手洗いが設けられていたり、流れるプールにはいくつも入水&退避用の階段が設けられているなど、そこで時間を過ごす人々を想っての心遣いがいくつもされていた。
何気なく遊んではいたが、こうして大人たち見守られていたんだなぁと改めて感じる。
数々の思い出

そうして市民プールや手柄山遊園付近をぶらぶらしていると、本当に色々な思い出が蘇ってきた。
− 小さい頃、父親と母親が家から自転車で市民プールに行くと私を荷台に乗せたが、道中段差段差でお尻にかかる負担がとんでもなかったこと。この時私は「辛抱」という言葉を覚えた。
− 手柄山遊園で「これでチケットを買ってきなさい」と母親から5,000円を渡され、全額チケット交換して戻ってきてみると、「何で全部してるねん」とバチバチにゆわされた(フルボッコ)。

− 水泳大会(50mプール)で先生と乗ったタクシーが遅れ、急いで服を脱いで開会式に向かうと、まだ水着に着替えておらず白パン(ブリーフ)姿だったこと。
そしてそれがキッカケで、しばらくの間「白くま」と呼ばれていたこと(当時私は肥満児だった)。
また、中学に上がると、プールを楽しみに行くという純粋な気持ちから、可愛い女の子を探しにいうという不純な方へ傾倒していく。

− そして、友人のゆうきが「可愛い子を見つけた」と声をかけに走っていったと思ったら、今度はゴリラみたいな男(多分彼氏)に追いかけられ全力疾走していたこと。
その後事情を聞くと高3くらいの女の子に声をかけたようだった。
ちなみにその頃ゆうきの身長は150cm台だった。

思い出せば思わず顔がほころんでしまうメモリーは数知れないが、それもこれもいつでも気軽に遊びに行けた姫路市民プール&手柄山遊園があってのことだ。

新・市民プール

ちなみに、市民プールと手柄山遊園の跡地は今後再開発され、屋内の新たな市民プールが建設されるようだ。
この新たなプールもまた姫路市民、播州の人々の心癒す施設となってもらいたい。
今から楽しみだ。
市民プール&手柄山遊園最後の(閉園)イベントの様子を動画でもアップしてみた。
下の YouTube リンクボタンをクリックしていただき、ページへ飛んで、チャンネル登録していただければ幸いだ(絶対だかんね)。
最後に行くことが出来なかった人には是非見ていただいて、色々と思い出してご友人やご家族と思い出に浸っていただきたい。
ハンカチのご用意を忘れずに。