兵庫県加古川市。
播州地域内でも有数の農業が盛んな都市。近年は、学生や若い人達のための陸上競技場、総合体育館、ウェルネースパークなど運動施設の充実、また加古川中央市民病院をはじめとする医療システムの完備などに力を入れている。
高層ビルの建造に狂う大都市とは一線を画した、”地に足ついた” 市政や財政運営で有名な街だ。様々な地域密着イベントも開催され、「播州一住みやすい街」と呼び声も高い。
そんな加古川市中西部には、この街を見守る高御位山が存在する。播磨アルプスと呼ばれるそうだが、ここではあえて “播州アルプス” と呼ぼう。
播州アルプス・高御位山は、加古川市からお隣高砂市にまたがりそびえ立っているが、加古川側にある成井ルート(登山ルート)が、特におすすめの散歩コースなのだ。
高御位山・無料駐車場
高御位山・成井ルートへは、まず「高御位山・駐車場」を目指す。現地に着くまでのどかな田園風景が広がる。車で行くのも良いが、自転車や徒歩で行くのもおすすめだ。
この「高御位神社参道」の標識に従い、成井登山口を目指す。
高御位山・駐車場は完全無料で登山客にとってはありがたい。しかし、停められる台数は15〜16台程度と、競争率が激しい。満車の場合は、登山口までの坂道に路駐するのが一般常識のようだ。
下りに向かって左詰めで駐車。駐車方法はバックで坂をのぼるか、坂の上でUターンして下りながら駐車場所を探すか安全な方を選ぼう。
成井登山口
車を停め、先ほどの坂を上がると成井ルートの登山口に行き着く。ここで出迎えてくれるのが、この高御位神社の石碑だ。
立派な作りで迫力がああり、これから約30分の “ハイキング” にも気合が入る。
そして、入り口を抜けまず目に飛び込んでくるのが、この長い階段と「頂上まで1000m」までの文字。そう、成井ルートは頂上まで階段をのぼっていく優しい散歩コースなのだ。
途中までしっかりとした手すりもあるので、小さな子供を連れての方や、お年寄り、足の不自由な方も安心してのぼることが出来る。
また、登山中に目安となるのが、現在地を示す石碑。「三丁」から始まり、五、七、十、山頂付近の「十五丁」までポイントごとに設置されている。
これにより「いつまで続くんだ」状態を回避することが出来る。
コースの途中、花が植えられていたり、誰かが手をかけてこのルートを綺麗な状態にしてくれているのが分かる。この山への愛情を感じることが出来る瞬間だ。
頂上まではまだまだだが、このように木々の間から見える景色に期待が膨らむ。
とはいえ、そこそこ続く階段をせっせと駆け上がり、空が近くなってきた。そろそろ頂上か!?
開ける視界
そうして階段をのぼりきると、ついに十五丁が見えてきた。高御位山の特徴である岩場のおでましだ。
ここはまだ頂上ではないが、神戸方面を眺めると明石海峡大橋や淡路島が見える。「ヤッホー」と叫びたかったが、前に座っている女性を驚かせて岩場から落としてしまっては大変だ。
グッとこらえる。
十五丁付近の岩場を、さらに頂上へ向けてのぼっていくと前方に人面岩場が!!こちらは高御位山の頂上からの絶景と並ぶ人気スポットで、たくさんの人が写真を撮っていた。
あれ?遠くを眺め黄昏れる子供の姿が。彼は今この景色を見て何を考えているのだろう。初恋の相手のことか、明日の給食の献立のことか。
頂上へ
黄昏れている子供を横目に、彼の立つ岩場の裏の階段をのぼって行く。
ここが頂上の直前にある、高御位神社だ。頂上岩場からの絶景を拝む前に、是非ともお参りしていただきたい。
そして、この神殿を抜けるとついに頂上の絶景を見ることが出来る。
言葉を失うような光景だ … 。とても30分のハイキング(徒歩)後に見れる景色とは思えない。
登山客は岩場に腰をかけ、皆思い思いにそこから見える絶景を楽しんでいる様子。昼食を取ったり、水筒からコーヒーを注いだり。
ちなみにこの岩場のすぐ前は絶壁だ。くれぐれも落ちないように!
西側を眺めると、姫路市の南に位置する家島がはっきりと見える。播州地域に住んで数十年。こんなに空を広く感じられる場所があっただろうか … 。
高御位山・成井ルート、ノンストップで約30分のしんど過ぎず、楽すぎず、素晴らしい散歩コースだ。
気分転換するのにおすすめな、播州の誇るアルプスである。